誰だと言わないけれど、最近では翻訳セミナーだのを個人でやる人もいるようだ。そういう宣伝文句に、これまで年収1,000万をキープだとか、月100万円も夢じゃないだとかいうものがある。
別にぼくは、そういうマーケティングをする人をたたきはしないし、興味もない。好きにやればいいと思う。そっちのほうが儲かるしね。
ぼくはフリーランス翻訳者を10年やった。正直言って翻訳だけの年収が1,000万円を超えたことはないし、仲間の翻訳者にもこの額を超えた者はいない。
別に不可能だと言っているのではない。出版社と契約している書籍の専属の翻訳家だとか、どっかの専属の翻訳家だとかになれば、そういうのもあるのかもしれない。
ただ、これだけは言える。一般的なフリーランス翻訳者で年収1,000万は普通に無理ゲーだ。
単価と仕事量で考えてみる
現在、フリーランス翻訳者が受け入れているレートは、はっきり言って低い。ぼくが受ける最高のレートは1ワード0.12 USD だ。しかし、この最近のこの業界では0.07〜0.08で仕事を頼んだり、受けたりしている。
この最高レートのベンダーのみから仕事をもらえるとして、それを毎日、TNT Japanが言う業界標準の1,500〜2,000ワードを1か月休みなしで翻訳するとしよう。
すると、こういう数字が出てくる。
2,000(ワード数) x 0.12 USD(単価)x 30(日)x 12(年)= 86400 USD(9,363,643円(2020年1月現在の為替レート))
わかるだろうか。最高のレートで毎日フルで仕事を受けて、しかも365日休まず働いてこの額だ。しかし、これをやるのは不可能に近い。1年休まず働くなんて無理だし、いつでも同じ量の仕事を取ることができて、レートが全部最高のまま固定なんてことはまずありえないのだから。これを考えればおわかりだろう。月100万ねらうだとか、年収1,000万をねらうのは現実的ではないことが。
現実的に考えた優秀なフリーランス翻訳者はこんな感じだろう。
2,000(ワード数)x 0.09 USD(単価)x 25(日、月5日休み)x 12(年)= 54000 USD(5,868,600円)
これは結構高いほうだ。だから、「これから翻訳者になります」っていうド素人が「1か月100万」なんて目指すのは、「『これから野球を始めます』っていうド素人が甲子園でホームランを打つ」を目指すようなものだ。
そういうマーケティングは疑ったほういい。それでもやるのは自由だし、信じたいのなら、それはそれでいい。
もっと高いレートならいけるのでは
では、もっと高いとは具体的にはいくらくらいか。0.2 USD(20円)や0.3(30円)か。これなら、けっこうよいところまでいけそうだ。しかし、こんな単価は普通には存在しない。ウソだと思うなら、求人でもなんでも探してみるといい。だいたい0.1(10円)以下だ。これは分野に関係ないレートとなっている。
翻訳会社を通さないで直接契約するほうが単価が良いのは確かだが、メーカーのローカリゼーションのハンターも直でフリーランスを雇うのには慣れているから、そんなに高い予算を持っていない。だから、0.12USDをとれれば、非常においしい契約と言える。本当に。
ぼくも大手のベンダーと契約していたことがあるが最高で0.12USDだった。しかも、そこからいつも仕事があるわけではないので、もっと低いレートで別のところからも仕事を受けていた。
平均年収くらいはもらえますかね?
Google師匠に日本の年収を尋ねると441万円という答えが返ってくる。これまでの説明を見ればわかるだろう。これは十分に突破可能な数字だ。翻訳者はそんなにはもうからない、だけど平均年収くらいは軽く超えられる。プロフェッショナルならね。
0.09 USDのレートをキープできれば、月に8日休んでも日本の平均年収は超えられる。もちろん、長期休暇や病休などはいれていない。
2,000ワード x 22日(月8日休み)x 0.09 USD x 12か月 = 47,520 USD(5,166,340円)
当然だが、フリーランスには有休なんてものはないので休めば稼ぎは0になる。
どうすればもっと稼げますかね?
日本人というのは、お金についてのお話を好まない傾向がある。でも、Aiden先生はやさしいからみんなに情報を無料でばらまいている。どうだ、ありがたいだろう…。
これについては別の記事で書くつもりだが、簡単に説明すれば、重要が高いポイントを抑えることだ。
今需要が高く、そして多くの人がやりたがらない仕事がある。それはね…、また次の記事を読んでね。
ぐっばい
コメント