駆け出しのフリーランス翻訳者は、経験の浅さから精神的に不安定になることが多い。そして、思わぬ失敗をしてしまうことも。そうならないようにするためにも、まずは状況を知り、心構えをしっかり持とう。
この記事の内容:
駆け出しのフリーランス翻訳者にありがちな失敗の説明
そのミスが起きないように気をつける方法
その量、大丈夫?
「やっと仕事が入るようになってきた。さぁ、もっと、もっと、がんばろう!」
なんとも微笑ましい光景であるが、これぞ危ない時期と言える。フリーランスを始めてしばらく経ち、仕事が多く入るようになると、稼げるようになる。これはうれしい感情だが、欲が思わぬ方向へと行ってしまうことがある。
- もっと稼ぎたいという気持ちから仕事を受け過ぎてしまう
- 何社も掛け持ちしてしまう
- 仕事の収拾がつかなくなる
- どうにもならなくなる
フリーランス翻訳者の仕事量と支払いが比例する(もちろん、単価が同じ場合)。「もっとやればもっと稼げる」と考えてしまうと失敗する。
無理なくこなせる量を知り、それに沿って仕事をしなくてはならない。
仕事が手に負えなくなり、納期を守れなかったり、品質がヒドく落ちれば、せっかくがんばったトライアルも台無しになる。
長期的な成功を築くには、案件数を稼ぐことではないはずだ。パートナーと信頼関係を築き、可能な限り同じパートナーから仕事を受けられるようにすることこそ長期的な成功につながる。
仕事がない/少ないとき
仕事が忙しくなって絶好調!そのまま何もなく成功できれば苦労はしない。
急に仕事が入らなくなることだって当然ある。こんなときは焦ってしまいがちだ。
何かトラブルを起こしてクライアントと絶縁になったとか、ブラックリスト入りしたのではない限り、仕事はまたやってくる。
こういうときは、別のことに時間を使えばいい。
フリーランスには有休などない。支払いがないからこそ、休みを有意義に使い、時間を投資して将来にリターンを得られるようにしておくとよい。
- スキルアップに時間を使う
- 大掃除などを行う
- 読書に励む
- イベント/勉強会に行く
- ゆっくり休む
これらに費やすことのできる時間は、駆け出しで必死で仕事をしていると少なくなりがちだ。もちろん、バランス良く時間をコントロールできるようになる必要があるが、少し手を止めて別のことをやる余裕を持つと精神も落ち着く。
してはいけないこと
- 焦って他社のトライアルを受けまくる
- レートを落としてでも仕事を探す
「仕事が少ない、このままではマズイ…」。気持ちはわかるが落ち着こう。ここでベンダーソースを無理に増やしたり、自分の価値を下げるような営業をすれば、その場はしのげても、長期的なビジネスの発展に影響が及ぶことになる。
あらかじめ心の準備をしておこう
フリーランス翻訳者の仕事というのは、経験を積み、特有のライフスタイルに慣れて、要領がはっきりとわかるまで安定しないことが多い。何かあるたびに焦っていては精神衛生にもよくない。
「仕事がないときもある」。「仕事がないとき、少ないときは、〜しよう」。前もって想像しておくことで実際にそうなったときに焦らずに行動できる。
例
- 次の予定のない日には、新しい分野、たとえば特許翻訳を勉強するために本を○冊読む
- 1週間以内に最低3日間にわたり全く仕事の予定が入っていない場合は、図書館で勉強する
- まとめて休む時期を決め、翻訳イベントに出て業界の動きを把握する
大丈夫。勉強して時間を投資して次の仕事をずっしり構えて待とう。そして、お得意さんに、これまで以上の品質を提供して喜んでもらえばいい。
レギュラーの仕事を取れるようにしよう
ABC社のDEF製品の担当になり、更新の翻訳を受け続ける。
○○○というゲームシリーズの担当になり、今後の更新も請け負う。
デイリーニュースの翻訳を毎日担当する。
こういったケースを受けられるようになれば、精神的な安定感も得られる。この方法は、ただ単にベンダーの数を増やすよりも将来性がある。ベンダーも信頼できて長期にわたり協力できるパートナーを求めているはずだ。
もちろん、これができるようになるにはクライアントとの信頼関係がなければならない。
この信頼関係を築くためには、無差別に登録しまくるのではなく、自分の得意分野や実績でターゲットを絞ろう。そして、クオリティの高い納品を行って、常に密接なサービスを提供することが重要だ。
覚えておいてほしい。信頼を築くのには時間と労力が必要だが失うのは簡単だ。
さいごに
経験不足であると、あらゆる要素で不安をあおられるものだ。あらかじめ想像して、頭でシュミレーションしておくと落ち着いた行動を取ることが可能だ。
ポイントは目先の利益を追うのではなく、ベンダーと長期的な良い関係を結べるようにしよう。
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