無数のパイプが行き渡る都市。このようなイメージは、ずいぶんと昔から想像されてきた未来都市の姿ではないだろうか。
英国の新しい物流プロジェクトMagwayは、パイプラインを車や人が通るラインにするのではなく物流に使うという発想でプロジェクトを進めている。
未来型物流と言えば一時期ドローンを使ったものが報道されたことがあった。しかし、ドローンは空を飛ぶため、人口が密集しているエリアでの使用は理想的ではない。
空がダメなら地下は….。
そう考えたのがMagwayだ。
MagwayのWebサイトには、このプロジェクトの説明が短く掲載されている。以下に原文を引用し、翻訳しよう。
プロジェクトの概要
A High-Capacity Delivery System
Magway is a revolutionary e-commerce delivery system that improves air quality and congestion by removing significant number of parcels and the delivery vans that carry them, from highways and urban areas. Combining its proprietary technology with existing tried and tested solutions Magway delivers goods more reliably, with greater predictability and at a significantly reduced operating cost. Capital investment is also substantially reduced and the system is inherently safer, independent of weather conditions and more secure than road transport.
Magway is co-funded by UK’s innovation agency, Innovate UK.大容量輸送システム
Magway Website: https://www.magway.com/
Magway は、高速道路や都市エリアから輸送トラックの数を大幅に減らすことで、空気汚染と渋滞を低減させる、全く新しいeコマース輸送システムです。既存のテスト済みのソリューションとMagway独自のテクノロジーを組み合わせることで、より信頼できる輸送を実現しています。このシステムでは、環境に左右されることがありません。そのため、より確実なデリバリプランを構築でき、コストを大幅に削減できます。また、設備投資も大幅に抑えることができます。このシステムは安全で、天候に左右されることがなく、路上の輸送よりも安全性に優れています。
トップページには、Magwayの概要を説明した簡易動画も用意されている。これも解説しよう。
いろいろな物を直接カーゴに入れて、梱包の手間や材料を節約
Magwayには、コンテナーのようなものが直接入るため、梱包を節約することが可能。現在考慮されている宅配物は、宅配物、食料品などだ。普通の宅急便と変わらない。
パイプのサイズと素材
このパイプの大きさはわずか90センチほどで、その素材には柔軟性と耐久性に優れるHDPE（高密度ポリエチレン）が使われるという。
場所を選ばないパイプライン
このパイプラインは、地下から地上へ、地上から地下へと配置することが可能。このパイプラインは、流通センター、混載センターへとつながる。
並列荷役で効率アップ
この図では、積み下ろし作業を並列処理にすることで、さらに時間を短縮できることを説明している。通常の荷役は直列で行われるため、1つの作業が終わらない限り次の作業に移れない。しかし、この並列アプローチであれば、2つの作業を同時に進行させることができ、効率が向上するという。
既存の物流システムに柔軟に適合可能
新しいテクノロジーを導入するのに、既存のインフラ設備は全部作り直し…。こんなことがあっては、コストも労力もかかりすぎてしまう。しかし、Magwayは既存のインフラ施設に柔軟に対応でき、労力やコストを抑えることが可能だ。
環境に左右されない安全なデリバリ
道路を使う宅配と違い、環境に影響を受けることがない。悪天候や渋滞に影響されず、排気ガスもゼロ。また、事故を起こす可能性もない。スペースを節約し、安全に物品を目的地まで届けることが可能。
まとめ
新しい未来の物流パイプライン、Magway。このシステムなら、環境に左右されずにコストと労力を節約して宅配を行うことが可能だ。現在では英国で開発が進められているが、欧州全土に拡大を考えているという。
空中ではなく、地下・地上という発想は、人口密度の高い英国や日本に適しているのかもしれない。
いつか我々の日本でも、このような物流システムが採用される日が来るのだろうか。
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