副業としての翻訳、効率化のヒント

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翻訳を副業にすることは可能だ。実際うまくやっている人たちも多い。しかし、中には、「なかなか副業として成り立たない」、「うまく自分に合う案件をとれない」、「状況を改善したい」と思う人も多い。

最初に最も重要なポイントを言おう。翻訳を副業としてうまく機能させるには、レギュラーの仕事を受けることを優先するといい。

この記事の対象者

サラリーマンや専業主婦

この記事の内容

効率的に翻訳を副業にするための準備と行動の説明

なぜ翻訳で副業か

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翻訳業は聖職ではない。誰でも勉強すればできることだ。また、経験ゼロからでもしっかり段階を踏めば十分にやっていける。しかし、効率化を図るには、「なぜ翻訳を副業でやるのか」を考える必要がある。いくつかありそうな例を以下に挙げてみる。

  • フルタイムの翻訳者になるためのキャリアアップ
  • 翻訳が好きだから、翻訳に興味があるから
  • こづかい稼ぎ

成功の見込みがあるのは最初の2つだ

最初の動機は、翻訳を自分のメインのキャリアにすることを視野に入れていることから生まれている。「現在は別の仕事に就いているが、副業として案件を受けて実務経験を積み上げたい」。これなら副業翻訳は適したキャリアパスと言える。

翻訳が好きだから翻訳していたい。それを副業にできるなら本望。これは、好きだから根気よく、すぐに稼げなくても続けられるという強みがある。

問題は「こづかい稼ぎだ」。これが成立するのは、翻訳スキルが既にあり、実務経験もそれなりにある人だ。このような人が「引退したけど、こづかい稼ぎにやりたい」というのは十分可能だろう。しかし、全くのド素人が「英語ができるから翻訳でこづかいを稼ぎたい」というのは厳しい(最近じゃ、英語ができなくても簡単に翻訳を副業にできるなんていう宣伝もあるが)。

翻訳を学ぶのには時間と労力が必要になる。「すぐにおこづいかいを稼ぎたい」という動機では、成功する可能性は低い。すぐに稼ぎたいのなら、パートでもなんでもやったほうが手っ取り早い。都内なら牛丼屋だって時給1,100〜1400円も稼げるのだから…。翻訳者として時給換算でこれだけ稼げるようになるには、しばらく時間がかかる。

レギュラーの仕事を取る

regular

毎日の金融ニュース翻訳、週1回の製品ニュースの翻訳、月1回の製品アップデートノートの翻訳。レギュラーの仕事というのは、定期的に同じ案件を任されることを意味する

このタイプの仕事であれば、毎日X時〜Y時までに納品と時間が決まっているのため、これを本業外の時間に設定するこで運営しやすくなる。ランダムな時間にランダムな仕事が入り込むような状況は副業には適していない

また、同じ案件を定期的にこなすことによるメリットも貴重と言える。まず、定期案件をしっかりとこなしていくことで、そのクライアントとの信頼関係を築くことができる。ちゃんと仕事をして納期を守り、品質保証を行っていれば、「この案件はこの人」というタイトルを得ることも可能だ。

さらに、定期案件を行うことで、その案件の分野の専門性を高めることができる。たとえば、ある製品システムの翻訳を受けたとする。案件を進めていくにつれ、そのシステム、関連システムやアプリケーション、ハードウェアについてのリサーチを行うことになる。そうすれば、そのシステムに誰よりも詳しい翻訳者となることができる。これは、次へのキャリアアップにも非常に効果的だ。

レギュラーの仕事を受けるための下準備

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実務を行うには、ベンダーや会社への登録が必要になる。ここで考慮すべき点は、ベンダー側のタイムゾーンだ。専業が会社員であれば、自分が働いている時間にしか連絡を取れないような会社は避けるべきだ。たとえば、日本のごく普通のサラリーマンなら9時から17時までは仕事でクライアントからの交渉を落ち着いて受けることはできない。ベンダーがグローバルに複数の国で支社を持つような場合は、その旨を伝えておくとよい。

日本の就業時間が相手側の営業開始時間ならば、コミュニケーションも取りやすいし、すぐに案件を受けて作業を受けることも可能だ。つまり、欧米の翻訳会社やメーカーに登録することで時間の問題を解決できる。「日本の産業に貢献していない」と文句を言われるかもしれないが、しっかりと稼いで税金を納めればよいではないか、ええじゃないか。

翻訳者ネットワークを活用する

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現役のフルタイムのフリーランス翻訳者とつながりを持つことで、仕事を見つけやすくなることがある。フルタイムのフリーランス翻訳者は忙しい。複数のクライアントを持ち、レギュラーの仕事も持っている。そうなると、常にクライアントからの新しい仕事に対応できないという状況が生まれる。そこで、クライアントのプロジェクトマネージャーは、「他の翻訳者を誰か紹介していただけないでしょうか」とお願いしてくることが多い。またゼロから翻訳者を探すよりも、既に登録しているレギュラーの翻訳者を雇うほうが安心だ。

この方法は、翻訳業界だけの話ではない。中には、社員紹介プログラムを取り入れ、「新たな人材は、できるだけ社員の紹介で入社させよう」という戦略を取り入れている大手企業も多い

話を戻そう。良き先輩翻訳者とのネットワークを築いておくことで、「こんな仕事があるだけど、興味ない?」と声がかかることもある。

良いフリーランス翻訳者たちと出会うには、大きなイベントに参加するのが手っ取り早い。たとえば、JTF翻訳祭では、非常に多くのフリーランサーやベンダーが集まる。参加費用はかかるが、貴重なつながりを形成できるよい機会なので有益な投資となる。

営業しよう

communication

欧米の会社やメーカーとパートナーシップ契約を結ぶことで時間の問題を解決できることは説明した。これは、募集をかけている会社やメーカーに限定されない。募集していない会社でも仕事を受けられる可能性は十分にある。

  • 興味のあるタブレットデバイスの会社に直接メールを書く
  • 好きなゲームの会社に直接メールを出す
  • スタートアップなどの駆け出しのプロジェクトを見つけて参加意欲を示す

多くの会社は、自社の製品のファンのフィードバックを大切にしている。また、パートナーシップを組むなら、「自社の製品をよく知っていて、使ってくれていて、愛してくれている人と」と考えるのは自然なことだ。

あなたがその会社の製品への熱意を上手に伝えることができれば、少しずつでも案件を依頼してもらえるかもしれない。

さいごに

副業翻訳を効率良くこなすには、定期的な案件を受けられるようにすることが大事だ。時間管理が容易で、専門知識を高めることでキャリアアップが可能、そして強い信頼関係を築くことができる。

あとがき

ぼくが最初にレギュラーの仕事を受けたのは駆け出しのころだった。この案件は土日を除いた毎日のニュースを訳すものだった。毎日朝5時から7時までと時間が決まっていて、1時間で400〜600字くらいの量だった。ぼくは、この案件を2年も続けた。クビになってやめてたのではなく、クライアントの顧客がサービスを終了するという形で終わりを迎えた。

このおかげで、その会社との信頼関係はもちろん、その分野の専門性も確かなものとなった。時には専門書を読み、インターネットで専門記事を読み、図書館で書物を探したこともあった。仕事量と勉強量を考えれば、稼ぎはそれほどよくなかったかもしれない。だが、ぼくは知識と信頼というずっと消えない貴重な報酬を受けることができた。

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